Cliant Works/湯宿 草菴の照明
湯の川温泉(斐川)
湯宿 草菴
https://www.yuyado-souan.jp/
設計:江角アトリエ 江角俊則 氏
古民家離れ「庄屋」「天保」の照明
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田舎の田園風景の魅力のひとつに、昔ながらの「変わらない景色」というものがあります。もちろん昔の風景そのままというわけではないのですが、これはかつての「にっぽん」への時間旅行を擬似的に楽しむようなものではないでしょうか。
特に島根県はこのような意味で非常に魅力的な土地だと思っています。そしてこのような「時間の流れを感じる体験」ができる場所での制作において私が考えている事は「素材や技術によってそのお手伝いができれば」ということです。
鉄製照明器具で心がけた事は、日本人にとって昔からなじみの深い素材である鉄の特色を前面に押し出すことによる「時間」の演出でした。
昔ながらの鍛冶仕事によって生まれるパーツ独特のアウトライン、表面仕上げは鉄の酸化皮膜(黒皮)や鉄さび色をそのままといたしました。技法的には昔ながらの手法を用いているのですが、形に関しては昔の照明器具の形をなぞることはいたしませんでした。
「古きもの」にも拘りながら、あくまで「新しきもの」を生み出したいというオーナーの想いに対し、これが私なりに出した答えでした。
兎にも角にも、ムクの鉄を金槌で叩いて生じる表面の凹凸(ハンマートーン)、塗装にたよらない鉄本来の色彩、そしてなにより「ゆっくりと流れゆく時間」をお楽しみいただければ幸いです。